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「深夜の初診料」の「深夜」の時間帯、およびリハビリテーションを請求する際の施設・職員配置基準まで規定していますので、正しくは「医療サービスと材料の公定料金表と請求規定」と呼ぶべきです。
「診療報酬」という呼称は、健康保険法が施行された昭和の初めから連綿と継承されており、開業医への支払いが医療費の大半を占めていた当時としては適切でした。 ところが、現在は医療費に占める診療所の割合は病院の半分以下です。
また、医療費に占める医師への配分も低下しています。 所得の実態を把握するのは難しいので、大雑把な計算として、現在臨床に従事している約25万人の医師の平均年収を、賃金センサスの調査よりもかなり高めの2000万円に設定しても、医師全員の収入合計は5兆円となり、歯科と薬局調剤を除いた医療費の約2割です。
確かに開業医の収入はそれ以上の場合もありますが、事業主としての諸経費を控除した所得で比較する必要があり、また開業医の数は勤務医の半分です。 日本の医師の報酬は社会が考えているほど高くない、という著者の見解に対して、統計に含まれていない医師への謝礼を考慮すれば高い、という反論が起きるでしょう.しかし謝礼についてよく考えると、そもそも外来では一般に渡されませんし入院の場合も毎日渡すわけではなく、通常、手術の後あるいは退院を控えて渡すというのが習慣です。
その際も、いわゆる差額が支払われる。 ベッドの患者からは相応の謝礼がありますが、寿般病棟の患者からはあっても盆暮れのあいさつ程度の金額の品物が通常です。
しかし、医師への謝礼についての疑惑が大きいことから、最大に見積もってどの程度であるかを推計しました。 大学病院の差額ベッドの場合は30万円、それ以外の病院の差額ベッドの場合は10万円、一般の病棟からは退院に際して3万円を謝礼として払うことを前提として、1990年当時の全国における差額ベッド、大学病院の割合および退院患者数がら推計するとその金額は4000億円程度でした。
これはOECD(経済協力開発機構)が推計した日本の医療費の15%です。 したがって、謝礼を含めても日本の医療費は低い水準にあります。
なお、医師への不透明な謝礼は道義的な観点からも問題になっています。 しかし、患者は「名医」に診てもらいたいと願っており、「名医」の数は定義上多くないのでぅ公正な取引にするには「名医」の診療時間を競売にするか、くじ引営にするしか方法はありません。
こうした方法も受け入れがたいので、結局全体の水準を上げて、専門領域ごとの医師の技能を標準化するように努力する以外には解決方法はないでしょう。 さて、診療報酬体系では、各医療行為の料金を保険の点数(1点が10円)という形で細かく定め、併せて同料金が適用となるための条件を提示しています。
たとえば、傷口を処理した場合に、100平方センチ未満は45点、100〜500平方センチは49点、500〜3000平方センチは75点というように規定されています(2006年4月改正時点)。 医療サービスについては、このような約2500種類の「診療行為」に分類されています。
いずれも全国統一価格で、どの医療機関のどんな医師や技師に対してもほとんど同じように適用されます。 つまり、東京の大学病院の教授が行っても、僻地の診療所の研修医が行っても、同じ「診療行為」に対しては、原則的に同じだけ補償されます。
地域の物価などによるコストの相違は、病室料だけに認められており、それも1日当たり最大150円にすぎません。 一方、薬については、製造するメーカー別に、錠剤の場合はミリグラム単位等ごとに、約1万3000品目の価格がそれぞれ決められており、これを「薬価」といいます。
医療機関は提供したサービスの点数と薬剤の薬価をそれぞれ積算して、患者からはその一定割合を徴収し、保険者には暦月単位で残額を請求します。 診療報酬で規定されていないサービスや材料を請求することも、点数で定めた料金に上乗せして患者に請求することも、原則的に禁止されています。
以上のように、診療報酬は医療サービスと材料を規定する要のメカニズムなので、その改定は医療機関にとって重大な関心事です。 こうした改定作業はほぼ2年に1回行われ、それは大きく2段階に分かれます。
第1の段階が全体としての改定率の決定で、内閣が決めます。 医療費の4分の1は国の一般財源から手当てしなければなりません。
そのため、財務省として、価格(診療報酬)の改定率が決まらないと、その分を次年度の予算に計上することができず、予算も作成できません。 したがって、予算を年内に決めるためのタイムリミットである12月中旬ごろまでに、改定率を決めなければなりません。
価格の改定率を決めても、出来高払いであるため、回数がどうなるかは確かにわかりません。 しかし、それでも価格全体の改定率を決めれば、回数は大きく変動しないので、ほぼ正確な金額を予算に計上できます。
この全体の改定率が、年末の財務省予算原案が発表される前に新聞などで報道される「診療報酬の引き下げ率××%」という数値です。 第2の段階が全体枠を、個々の診療行為の点数や薬価に振り分ける改定で、厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が決めます。
その際、全体の改定幅を約2500の「診療行為」にそのまま当てはめるわけではなくメリハリをつけて個々の「診療行為」の点数を原則的にすべて変更します。 こうした作業が年末から2月にかけて実施され、4月の新年度より改定された診療報酬に基づいて請求が行われます。
改定を行う際のデータとしては、後述する薬価を引き下げる根拠となる「薬価調査」のほか、第1の段階では、医療機関の経営状況を調査する「医療経済実態調査」、第2の段階では、各診療行為がそれぞれ日本中で何回実施されているかを調査する「社会医療診療行為別調査」があります。 しかし、第1の段階は「医療経済実態調査」によって明らかにされた医療機関の経営状況よりも、国の財政状況や高度の政治的判断によって決着しています。
また、第2段階は実質的には厚生労働省保険局、および中医協の日本医師会からの委員を中心とした交渉で、各「診療行為」の点数と請求の条件をそれぞれ個別的に決めています。 交渉する際、各「診療行為」の点数の改正が医療費全体に与える影響を計算するために「社会医療診療行為別調査」が用いられます。
このように第1段階で診療報酬全体の改定幅を決めたうえで、その範囲に収まるように第2段階で個々の「診療行為」の点数を決めていますが、個々の改定が全体の改定枠の範囲に改定後、実際に収まったかどうかを厳密には検証できません。 なぜなら、「社会医療診療行為別調査」は粗い調査で、抽出される医療機関も毎年異なりますので、初診料など回数の多い「診療行為」以外は改定の影響率を正確に計算できず、また改定後の回数は医療機関が新しい点数と請求の条件を見て、医療サービスの内容や請求方式を変えるのでぶれるからです。
以上のように、診療報酬改定のプロセスは不透明であるだけでなく、改定のインパクトも正確には検証できないので、交渉に当たる当事者の説明責任はいっそう暖昧になっています。
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